No.110 想いの承継

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「私は不動産王になって日本を救います!」

「天から授けられたこの力を世のため人のために使わさせて頂きます!」

「そして必ずや日本に貢献出来る人間となります!」

おはようございます。

昨年、築29年になる

所有物件で

初めての大規模修繕工事を

実施しました。

この物件は1996年に

私の父が

中古で購入したものです。

 

当時の私は大学生。

不動産売買契約の際も

詳細は聞かぬまま

とても場違いな格好で

銀行の応接室に行ったことを

よく覚えています。

 

この物件は

父の自慢の物件でした。

とても敷地が広くて、

駅も近く

利便性も良いのです。

学生時代は

よく

手伝いに駆り出されました。

 

そんな想いの深い

この物件に

昨日は

両親を連れて

行ってきました。

大規模修繕工事完成後の姿を見せるために。

本当は

もっと早く

連れて来たかったのですが、

なかなか予定が合わず

昨日になってしまいました。

 

あれほど

想いの強かった

この物件ですが、

父は

ここがどこだか

よく分かっていないようです。

 

 

そう。。

 

 

父は

認知症を発症しているのです。

 

 

私が

誰かも

よく分かっていない今では、

以前のように

ぶつかることも

相談することも

一緒に物件をまわることも

なくなりました。

 

「父が以前のままだったら

 大規模修繕工事によって生まれ変わった

 この姿を見てなんて言うだろうか。。」

 

まぁ、どうせいつものように

けなされるんでしょうけど。(笑)

 

そんな事を考えながら

現地を案内しました。

 

父は

不器用で

言葉が足りなくて

頑固で

とにかく真っすぐな人でした。

 

そんな父には

散々苦しめられましたし、

いつも喧嘩ばかりでしたし、

父のせいで

私の青春時代は真っ暗です。

こうして

一緒に仕事をするようになって

過去の思いを

清算して

もう一度

親子関係をやり直せる機会を得たと思ったら

 

優しい言葉をかけることもなく、

 

認める言葉もかけることもなく、

 

父は

私のことを忘れてしまいました。

 

 

 

そりゃないぜ、、、

 

 

親父。。。

 

 

父に認めてほしかった。

言葉をかけてほしかった。

遊んでほしかった。

だからこそ

私は今、

子供達を認め、言葉をかけ、

なるべく一緒に遊ぶようにしています。

 

そんな父ですが、

困窮に喘いでいた実家を救うため

自分の夢を捨てて

家業を継ぎ、

その家業の将来を憂い

20歳の時から

不動産投資を始め

今日の規模にまで事業を拡大させてきました。

投資案件は

敷地の広いファミリー物件のみ。

事業が軌道に乗ってきても

一切

儲け話の類には手を出さず、

愚直なまでに

信じた道をコツコツと歩んできました。

聞くところによると

銀行への返済が遅れたことは

一度もないそうです。

 

地道な努力を継続する

その真っすぐさは

 

男として

 

父親として

 

経営者として

 

心から

尊敬しています。

 

今回の大規模修繕工事によって

父が購入した当時の姿に

 

私のアイデアによるデザインが

加えられました。

 

こうして

この物件は生まれ変わったのです。

 

 

今年の秋、

私は会社の代表を父から承継します。

 

 

承継に当たって大事なのは

 

 

役職名の承継ではなく

 

 

物件名義の承継でもなく

 

 

『想いの承継』

ではないでしょうか。

 

時代は変わり

経営環境も変化すると共に

物件は劣化していきます。

それでも

決して変わることのない

父の想い。

私は後継者として

そこをしっかりと承継したいと思います。

 

 

少し小さくなった

大好きな父の背中を見ながら

そんな事を思った一日でした。

 

 

本日も最後までお読み頂き有難うございました。

心からの感謝を込めて。

「有難う。愛しています。」

神辺照喜

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